中古リノベコラム
住宅ローンの繰上げ返済、する派?しない派?それぞれのメリットとデメリット
住宅ローンは毎月(もしくはボーナス時に)決まった金額を返済するのが一般的ですが、ローンを組んで住宅を購入される方の多くが「お金が貯まったら繰り上げ返済」を視野に入れておられます。しかし実際に計画的に繰り上げ返済を実施できている方はさほど多くありません。
ここでは「繰り上げ返済」の仕組みと、意外と知られていない『繰り上げ返済のデメリット』に重点を置き、ご説明いたします。
住宅ローンの「繰り上げ返済」とは?
繰上げ返済とは、まとまったお金ができたときに、住宅ローンを早めに返済することです。例えば、毎月10万円ずつ返済している方が、貯蓄を使って一度に200万円などまとめて返済することを言います。繰り上げ返済で返済される金額は、利息ではなく「元金」に充当されます。
住宅ローンの返済には、毎月の返済額が一定額である「元利均等返済」が多く採用されていますが、この返済方式の場合、ローン残高の多い支払い開始当初に最も高い利息を支払い、ローン残高が減るにつれて徐々に支払う利息の額が減ります。
つまり、ローン残高の多い初期に繰り上げ返済を行うことで、初期に元金を減らすことができ、その分利息の支払い額も少なくなるのです。
繰上げ返済の方法には、繰上げ返済によって返済期間を短くする「期間短縮型」と、残りの返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。
「期間短縮型」は短縮された期間に相当する利息分、総返済額が減少するため、退職までに住宅ローンを完済したいなど、計画的に早期完済を目指したい人に向いています。ただし、毎月の返済額は変わらないため、繰上げ返済の効果を実感しづらい面もあります。
「返済額軽減型」は繰上げ返済の効果が毎月の返済負担の軽減として実感できるため、教育費が重くなるのに備えて月々の返済負担を軽くしたいなど、家計のキャッシュフローを調節したい人に向いています。
良いことづくめのように感じられる「繰り上げ返済」ですが、実行することにより発生するリスクもございます。
デメリット① 住宅ローン控除が受けられなくなる可能性がある
住宅ローン控除は、毎年末の住宅ローン残高、または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除される制度です。
無計画に繰上げ返済をし過ぎるとローン残高が減るため、このメリットを受けられなくなってしまう場合があるので注意が必要です。
また、「期間短縮型」では、繰上げ返済の結果、残返済期間が当初のローンの支払い済み期間と合わせて10年未満になってしまうと、住宅ローン控除が受けられなくなります。
デメリット② 過剰な繰上げ返済が家計を圧迫
余裕のある資金だけでなく生活資金まで繰上げ返済に回してしまうと、病気やケガ、子どもの教育費など予想外の出費が必要になった場合、対応に困ることになります。別途ローンを組もうとすると住宅ローンよりも金利は高くなります。また、万一失職してしまった場合には新たにローンを組めなくなる可能性があります
住宅ローンの利息軽減を優先するあまり過剰な繰上げ返済をしてしまい、家計が圧迫されて日々の生活が苦しいという状況になることがないよう、預貯金と返済額のバランスを考えて繰上げ返済の計画を立てることが重要です。
デメリット③ 手数料がかかる場合も
繰上げ返済をするには、基本的に事務手数料が必要になります。金融機関によりますが、窓口での手続きでは1回につき5千円~5万円ほどかかります。ただ最近では、WEBサイト上で住宅ローンの繰上げ返済が完結できるインターネットバンキングを利用することで、手数料が無料になることが多くなっています。ちなみに、フラット35は繰上げ返済を何度おこなっても無料です。
これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、繰り上げ返済をしていくかどうかを「住宅購入前に」家族でしっかり話し合っておきましょう。また繰り上げ返済をしていく場合は、家計や貯蓄のバランスを見ながら計画的に実行していきましょう。